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8月19日 (Mユゥジ×アキラ)

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 正直、ハタチを回ったら誕生日なんてどうでもいいと思ってたんだが……違った。
まさか、自分がこんなにも誕生日を心待ちにするなんて一年前の俺には想像もつかなかっただろう。
 彼女とともに過ごす今年の誕生日は、俺にとって今までで一番大切な誕生日になる。


 ……はずだったんだ。
 今年の8月19日は、アキラと一緒にケーキ食ったりしながらいちゃいちゃするはずだったんだ!
 なのに、なんで俺はひとりなんだ……おい。


 時計の示す時刻は23時。8月19日の、23時だ。つまり、俺の誕生日も残すところあと1時間という……。
そのラスト1時間、俺はなぜか教室にひとり。
 こんな寂しいことがあるか?
 いや、違う。俺の名誉のためにも言わせてくれ。決して、俺があいつを怒らせたとか、
呆れさせたとか、他のやつに奪われた……とかじゃない。
 朝から急に入った会議に、あいつが出席することになって……一度も会うことなく、今に至ってる。
朝から、何時間会議してんだよ……よりによって、なんで今日なんだよ……。
 ふつふつと湧き上がる苛立ちを隠すこともできず小さく舌打ちした瞬間、教室のドアが開かれた。
 室内を窺うように顔を覗かせるアキラに、緩みそうになる顔を緊張させて俺は小さく手招いてやる。

「お疲れさん。どうした?入れよ」

 そう声をかけた俺のぶっきらぼうを装った声に、見事に騙されてくれたアキラは困ったように
眉尻を下げながらも小走りで俺の元まで駆けてくると、真ん前で立ち止まり綺麗に腰を折った。

「ごめんなさい!!」

 普段見慣れたのとは違う角度で見ることになった彼女のつむじを眺めながら、
ひくりと笑みを作りそうになる口許にぐっと力を込め、ことさら高圧的な態度に努める。
もちろん、その間はずっと頭の中で「ディバイザー、ディバイザー…俺は今、ディバイザー」と
呟いていたわけだが。

「……なにが?」

 問い返す俺の言葉に、アキラの肩が小さく震えるのを見て思わず泣き出してしまうのかと思った。
しかし、彼女はさらに頭を深く下げる。

「ユゥジくんのお誕生日、ちゃんと約束通りにお祝いできなくて……ほんとうにごめんなさい」

 俺の演技はそう保たない。
 こんなふうに謝ってくれるアキラに、これ以上くだらないことをするのは愚策だった。

「……いいよ、まだ『誕生日』だしな」

 下げられた頭をポンポンと軽く叩いてやると、ゆっくり持ち上がっていくアキラの顔には
まだ悲しげな表情が。

「ほんとうに、ごめんね。今からでもちゃんとお祝いしたいんだけど……
ユゥジくん、お誕生日おめでとう」

 祝いの言葉を照れたように言ったアキラの両肩に手をかけ、そのまま椅子へと座らせると
俺はその前に跪いた。ショートパンツからむき出しになった形のいい膝頭に軽く口付けると、
ふくらはぎを撫で下ろしてハイソックスに包まれた細い足首を掴み、再び膝頭に音をたててキス。

「ユゥジくんっ!」

 慌てたように名を呼び、制するよう伸ばされた手を掴み取りそのまま指先にキス。
 白く柔らかな内腿を押すように尖らせた舌先で舐め上げると、小さく息を飲むアキラを
見上げながら、その柔らかな箇所に軽く歯を立てる。

「なぁ、お姫様。プレゼント、くれるんだろ?」

 掴んだ足首をそっと外側へ押しやり、開いた脚の間に身体を割り込ませると、
真っ赤に染まったアキラの顔に頬が緩んだ。

「一生忘れられない誕生日になりそうだ」



ende.


*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*


ユゥジ、誕生日おめでとー!
誕生日くらいは、いい思いをさせてあげようと思ったんですが……
これはいい思いをしてるのか、どうなのか。
いっそ誕生日を忘れられてたりしたほうがよかったかも…とか。
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懲りない男(Mユゥジ×アキラ)

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「ユゥジくん、ユゥジくん」

 背をとんとんとやわらかに叩くふいの呼び止めに足を止め、
絶対に聞き間違えることのないその声に合わせ視線を下に向けつつ振り返ると、そこには……。

「なんでそんな格好してんだ」

 見慣れた制服姿……ではなく、白地に……なんだ、撫子?そうだ、撫子だ。
撫子の花が青っていうのか紺っていうのか、どういったらいいのかわからないが、
綺麗な色で入った浴衣を着て立っているアキラだった。
 色合いで言えば、制服に近い。だが、普段とは違う…その、なんていうんだ衿?
衿のあたりが色っぽい。

「……ひどい。みんな褒めてくれたのに……」

 つい口に出してしまった言葉に、じっとりと恨めしげな目を向けてくるアキラの言葉に、
謝るよりも先に反応せざるを得ないフレーズが。

「ちょっ…待て!みんなってのは、誰だ?」

 俺より先に、アキラのこの姿を誰が見たって?誰が、褒めた?

「デュセンやリッケンたちだけど……」

「あいつらか…だったら、いやいや駄目だ駄目だ!俺以外の前で、そんな格好するなよ」

 いくらサブスタンスとは言え、油断はできないだろ。
 特に、リッケン……あいつは、無邪気にキスしまくりやがって……
俺よりアキラといちゃいちゃしてんじゃないのか。
 むくむくと入道雲のごとく勢い良く育っていく嫉妬心を向ける俺を、
アキラは困ったような泣き出しそうな顔で見上げてくる。

「……浴衣、だめ?」

 生成り色の帯の前でぎゅっと握り込まれた手を慌てて取り、細いその身体を抱き締めた。

「……可愛いから、誰にも見せたくないんだよ」

 いつもは下ろしたままの髪を浴衣姿に合わせて結い上げることであらわになった首筋に顔を埋めると、
薄い皮膚に噛みつき歯型を残してやりたい衝動を抑えこみつつ口唇を押し付ける。
とくりとくりと少し速めに脈打つのを口唇で感じながら、軽く舌先で柔らかな肌を舐め上げると
くすぐったげに身を捩るアキラに、ゾワリと身体の奥が震えるのを感じた。
 すぐ後ろに設置されているベンチに腰を下ろすと、いつもは俺を見上げるばかりのアキラの顔が
高い位置にあるのを新鮮に感じながら、そっと腰を抱き寄せる。

「なんか、へんな感じ。ユゥジくんの頭、わたしより下にある」

 くすくすと楽しそうに笑いながら俺の髪を梳くように撫でる彼女を見上げたまま、
空いた手を浴衣に包まれた脚に這わせていった。

「やっ…だめっ、ユゥジくん!」

 慌てて身体を離そうとするが、腰をしっかりと抱き込まれた状態からはそう簡単に逃れることもできず、
されるがまま。

「俺の前で、そんな格好する方が悪い」

 浴衣の裾から手を差し入れると、なめらかな素足を撫で上げていく。
 綺麗な形をした膝頭をくすぐり、柔らかな腿に指を這わせ、脚を閉じようとするのに先回り
膝を割り入れ、さらに手を上へ進ませると……。

「だめだって…ばっ!」

 振り上げられた腕は綺麗に宙を掻き、そのまま俺の頬を思い切り打った。
 それはもう、気持ちがいいほどの音を立てて繰り出された平手は俺の手を止めるにはとても有効だった。

「あ…っ、ごめんなさ…っ」

 だが、アキラ自身はビンタをかますつもりじゃなかったようで、慌てて俺の頬を撫でるように触れてくる。
 その心配した顔が、なんとも言えず可愛くて……その手を取り、笑いながら手のひらに口付けた。
 
「お前になら、殴られても蹴られても許せる」

「でもっ……痛い?ごめんね?」

 泣き出しそうな顔で何度も謝罪を口にするアキラの姿に、ゆっくりと俺の中で何かが
鎌首を擡げていくのを感じていた。
 このまま抱き締めて、きつく結ばれた帯をほどき……細い首筋にしばらくは消えることない痕を刻みつけ、
さきほど撫で上げた脚のその先を……。
 そんな欲望が頭と心臓をうるさいほどに内側から叩き続ける。

「もう痛くないから大丈夫だ…けどな、どうせ撫でるならこっちのが嬉し…アキラ!?」

 こっち、と自身の股間を目で示した俺の両肩を思い切り押し身体を離すと、
これ以上ないほど真っ赤になったアキラはそのまま勢いよく俺から離れていく。

「ユゥジくんのえっち!もう知らない!」

 パタパタと小走りに逃げていく姿はまるでうさぎだ。
 そんなことを思いながらも、逃げられた事実に漏れるのは大きな溜息。

「あー……俺、もしかして変態……?」

 そうがくりと俯くが、浴衣姿で赤面したアキラを思うとどうにもこうにも笑みが浮かんでくる。
 あんな可愛いの、他のやつになんか絶対にやれないだろ。
 俺以外があの姿見るのも嫌だってのに……ってか、ちょっと待て。
 なんであいつはあんな格好……。

「夏祭りか!ちょっ…アキラ!」

 このあと俺は、すっかり拗ねて怒るアキラに謝り倒し夏祭りで花火を一緒に観るという大役を
他のやつに奪われないようにすることに、必死になるわけだが……それは割愛。


ende.


*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*


一般的な男性が、どの程度浴衣の知識を持ってるかわからず…裾とか言いそうだな、と。
ばちこーんいかれてんのに、全然懲りる気配のないユゥジ(35)
それどころか、さらに調子乗っちゃう変態っぷり。
さすが、歪みない。

有頂天(Mユゥジ×アキラ)


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「ダメだよ、ユゥジくん」

 珍しくOdd-I'sの練習のない放課後、机に腰掛けスコアを読み込んでいると、
ふいに背後から掛けられる声に思わず口許が緩むのを感じながらも、
ゆっくり振り向いた先には教室のドアを閉めながら腰に両手を当てて怒ったフリをしているアキラ。

「そういう台詞は、もっと色気たっぷりに言ってもらいたいもんだ」

 そう返した俺に、アキラは小さく首を傾げるがすぐに意味を理解したように
顔を赤らめますます怒ってしまう。

「そうじゃなくて!机に座っちゃダメだよ、って言ったの!」

「はいはい。わかったよ、お姫様」

 ビシッと効果音が聞こえそうなほど鋭く腰掛けた机を指さす姿に、
両手を軽く上げて降参を表しながら立ち上がると、怒りは一変……笑顔に早変わりした。
 怒った顔も可愛いが、やっぱり笑った顔は格別だ……なんて俺が思ってることに
気付いている様子は全くなく、そばに寄ってきた彼女は俺の手にしたスコアを見遣る。

「それ、新曲?」

「あぁ、さっきカズキから渡されたんだ。次も、いい曲だぜ?」

 スコアをヒラヒラと揺らしながら言う俺を見上げ、アキラは本当に嬉しそうな笑みを浮かべ、
大きく頷いた。

「期待してるね」

「任せろ。ちゃんと期待に応えられるよう、しっかり練習するさ」

「……ユゥジくん、言葉と行動が一致してないんだけど……?」

 小さな身体を包み込むよう胸の中に抱きしめた俺に困った声を出すアキラの腰を、
逃がさないよう手を組んでさらりと揺れる髪に顔を寄せる。

「ん?そりゃあ……お前があまりにも可愛い顔で俺を見上げたりするから。我慢できなくてつい、な」

「つい、って……もう」

 嫌がる様子はないものの、場所を気にしてか時間を気にしてか腕の中でそわそわと
落ち着かないアキラの髪に軽く口唇を押し当てると、そのまま耳元をかすめるように囁いた。

「お前に触れていたいんだ……駄目か?」

 その瞬間、彼女の身体が弾かれたように小さく背を震わすのを感じ、
回した腕にほんの少し熱くなる体温を感じる。
 ……これは、やばい。
 こんなダイレクトに反応が返ってくると、ますますいろんなことしたくなっちまう……。

 細い背を撫で上げ、指に引っかかる小さな金具を軽く外して……
背筋を辿るように指先でくすぐってから、そっと締め付けのなくなった胸元へ滑らせ……
シャツ越しにその控えめだが可愛いふくらみを親指全体を使って柔らかに持ち上げると、
ホックを外したブラジャーがシャツごと持ち上がり、俺の手には温かな体温と、
指先に触れる小さな尖り。
 制服のショートパンツから剥き出しの脚を撫で上げ、皮膚の薄い内腿へくすぐるように指を滑らせて、
ショートパンツの隙間からそっと手を忍ばせる。

「……ユゥジくん、聞いてる?ねぇ」

 とんとん、と胸を手のひらで叩くアキラの声に、俺は一気に現実へと引き戻されてしまう。
あれが、妄想じゃなく現実だったら……そんな溜息を押し殺しながら、俺を怪訝そうな顔で見上げる
アキラの背を軽く叩いた。

「悪い、なんだって?」

「だからね、駄目じゃないけど……今は駄目、って言ったの」

 駄目じゃないけど、今は駄目?
アキラの言葉の意味が一瞬、理解できずに眉を寄せるがすぐにさっき俺が言ったばかりの言葉を思いだす。

「あぁ……なんで、駄目じゃないのに今は駄目なんだ?」

 駄目じゃないなら、いいだろ……そう口唇を重ねようとした俺に、アキラはぐっと胸に腕を突っ張って
身体を離そうとする。

「だめ!ここは教室なんだから、絶対だめ!」

 すっかり教官の顔になってしまったアキラに、これ以上迫っても意味がないことはすでに承知している。
ここは諦めるが吉……と、ゆっくり組んだ手を離し解放すると、彼女は満足げに頷いた。
俺から離れたことでそんな顔をする彼女がどうにも悔しくて、小さな後頭部を片手で包み込むと
抗う余裕も与えないまま、口唇を奪う。
 彼女は俺のものだと主張するかのような強引なキス。

「ごちそーさん」

 チュッと互いの口唇が濡れた音を立てるのに、どんどん顔を真っ赤にしていくアキラの頭を
ポンポンと優しく撫でると、色濃くなった口唇を小さく震わせじっとりにらみつけてくる。

「ユゥジくんの、ばか」

 彼女は知らないだろう。
 そんな顔されても、俺はどんどん煽られるだけだって。
 真っ赤な顔で、濡れた口唇で、潤んだ瞳で、そんな可愛い言葉で……
俺がどれだけ興奮するか、知らない。
 あー……もう俺は今、世界で一番幸せなんじゃないか?
というか、幸せだって言って回りたいくらいだ。

 にやにやそんなことを考えている俺を、今もまだアキラは拗ねたように見上げている。

「さて、お姫様。どうしたら、許してくれる?」


ende.


*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*


調子に乗せると、ひどいことになるユゥジ。
そして、SSは一気に書き上げないとなんかグダグダになるという…。

潮騒(ユゥジ×アキラ)



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「痛いっ…痛いよっ、ユゥジくん!」

 白く、このまま力を込めれば砕いてしまうんじゃないかってほど細い手首を掴んだ俺に、
引き摺られるようにしながらもなんとか小走りについてくるアキラの訴えも、
今の俺の耳には響いてはこなかった。
 今、俺の身を焦がしているのは……ドス黒く、目の奥が紅く染まってしまったかのように熱い感情。
 ただ、それだけ。



 訓練を終え、疲れ切った身体に鞭打つように寮へと向かう俺が目にしたのは……
他に人のいない廊下で話し込むアキラと、ソーイチロウの姿だった。
 それはなにも珍しい光景じゃない。ソーイチロウは彼女の補佐でもあるんだ、
二人が常に……と言っても過言じゃないほど一緒にいることはわかってる。
 だが……このときの俺には、余裕がなかった。
 今日の訓練の結果が芳しくなく、正直自分でも頭を抱えたくなるほど散々な結果を出してしまった。
 こんなんで、もし今ナイトフライオノートが攻めてきたりしたら……
俺は、彼女をちゃんと守ってやれるのか?
こんな結果を出した俺じゃなくて、彼女は他のやつらを信頼して戦闘を任せるんじゃないか?
自分を守らせる相手に、俺を選んだりはもう……しなくなるんじゃないか?
 それだけじゃない。
VOXのオペレーター達やソーイチロウみたいに有能なやつらに、信頼を寄せるんじゃないか……
俺じゃない誰かが、彼女を……。
 そんな思いが浮かんだ瞬間、頭の中でガッチリと繋がれていたコードが引き抜かれたような、
ブツンと大きな音を立てて電力が落とされたような感覚がした。
 甘粕と別れ、廊下を歩き出したアキラの腕を取りそのまま強引に施設を飛び出して、
普段から人気もない入江へ連れてくることに、なんの罪悪も感じなかった……。
 ただ、彼女を誰にも渡したくなかった。
 ……それだけだ。



「ユゥジくん!ねぇ!」

 入江まで連れて来た俺の手を何度も軽く叩いてくる彼女の声と、
岩にぶつかり弾ける波の音に俺はゆっくりと足を止めた。
 大きく息を吸い込むと、慣れた潮の香りが肺を満たしていくのに何度かそれを繰り返し、
ようやくアキラへと顔を向ける。
 夜の海、それもLAGから離れた場所にあるここには人工の光は入らず、
アキラの表情を浮かび上がらせるのはよく晴れた空で輝く明るい月だけ。
 そんな淡い光の中でも、彼女がどれだけ不安げな顔をしてるのかよく見える。
 
「……ユゥジくん、どうしたの……?」

 LAGを出てからずっと黙り込んだままの俺に、そう尋ねる彼女の目に浮かぶのは不安だけか?
怒りや悲しみじゃないのか?
 いや……違う、これは……。

「ユゥジくん?」

 ふと空いた手を持ち上げ彼女の頬に触れると、びくりと身体を小さく震わせるのに確信した。

「……怯えるなよ」

 アキラの目に浮かぶのは、怯えだ。
 腕をきつく掴み上げて、強引に連れ出した俺に対する怯え。

「お前を、傷つけるつもりはないねぇよ。ただ……話したいことがあったんだ」

 ほんの少し、それでもアキラが逃げ出すことはできないほど手首を掴む手を緩めると、
彼女はわずかに緊張を解いた。

「話したいこと?なに?なんでも言って。わたしは、ユゥジくんの話聞きたいから」

 その口調は、まるで面談でもしているかのようで……湧き上がる小さな苛立ちに、
思わず俺は眉根を寄せてしまう。

「……教官だから、か?」

 そう低く呟いた瞬間、アキラの目に怪訝そうな色が滲んだのを見た。
 お前にとって、俺はなんだ。
 ただの生徒、部下でしかないのか……本当に、俺の気持ちには一切気付いてないのか。

「べつに、それだけじゃ……」

「じゃあ、なに?教官としてじゃなくて、お前は俺をどう見てる?」

 切り返すようにそう問い返した俺の言葉に、困ったような表情を浮かべたまま
黙り込んでしまうアキラの手首を再びきつく握り締めた。

「いたっ……。ユゥジくんっ、痛いってば……!」

「……俺も、痛ぇよ……」

 胸の奥が、痛い。
 決定的な言葉を、まだ何も伝えていないくせに傷付くなんてどうかしてる……。
 もう、我慢なんかできやしない。
 俺以外の誰かがこいつを守るのも、俺以外を選ぶのも、俺以外に笑いかけてるのも、
俺以外と一緒にいるのも、俺のものじゃないのも……我慢できない。

「ユ……ぅ、ん……ッ」

 掴んだ手首をぐっと押し下げるようにして、わずかに前のめりになったアキラの細い顎を
そのまま掴むように持ち上げると、名前を呼ぼうと軽く開いた口唇を塞いだ。

 抗議の声は聞きたくない。
 お前はこのまま、俺のものになればいいんだ。
 だから、何も拒む必要はない。

 驚いたように目を見開いたアキラの顔を、目も伏せることなくじっと見遣りながら口唇を貪る。
軽く開いたままの隙間に舌を挿し込んでやれば、ますます驚きを滲ませる瞳と怯えたように震える舌先が、
とても甘く俺の欲望をくすぐった。

「んっ…ぅ、ん……ふ…っ、ぁ…っ」

 角度を変えて何度も何度も、歯列をくすぐり舌を吸い上げ、上顎の窪みを軽く擦ってやると
苦しげに喘ぎを漏らす姿を、俺以外の誰が知ってる。
 俺以外に、アキラのこんな姿を見ていいはずがない。
 誰にも、見せてなんかやらない。
 手首を掴む手でそっと腕を撫で上げ、滑らかな二の腕に指先が触れたのを感じると、
そのまま制服に包まれた膨らみへと移動させるのに、口付けから逃れられないまま小さく
何度も首を振るアキラに、俺はわずかな間だけ感じることのできた柔らかな感触から手を引き、
肩へと移した。

「……ユゥジ、くん……っ」

 ようやく口唇を解放した俺を見上げながら、震える声で名を呼ぶアキラの顎から手を離すと、
その小さな身体を力いっぱい抱き締めた。
 想いを伝えたら、彼女は受け入れてくれるだろうか。
 こんな強行に出たくせに、心は臆病で情けない疑問ばかりを浮かび上がらせる。

「……今日の俺の訓練、最低だった。悪い。次は必ず最高の結果を出す。
だから……これからも、俺にお前を守らせてくれないか?
他のやつらじゃなく、俺を……選んで欲しい」

 顔が見えない俺の言葉にアキラはしばらく黙っていたが、ふっと身体から力が抜けたかと思うと、
彼女ので手が俺の腕に軽く触れた。

「やっぱり、気にしてたんだ。訓練の結果、みんなの前じゃ『俺でも、たまにはこんなこともあるさ』
なんて言ってたけど、気にしてたんだよね……よかった。心配してたの」

 突然キスした俺を責めるでもなく、心配してた?
 その言葉に、ゆっくりと身体を離す俺を見上げるアキラが困ったような笑みを浮かべながら、
触れた腕をぎゅっと掴む。

「……さっきのは、びっくりしたけど……。ユゥジくんは、ひどいことしないって信じてた。
ちょっと、怖かったんだけど。でも、ほらこうして今はもう優しいし」

「……嫌じゃ、なかったか?」

 そう問い返すと、赤く染まった顔を俯かせて額をこつんと俺の胸に預けてきた。

「……嫌じゃ、なかったよ。ユゥジくん、優しいし……」

 俺に照れた顔を見られたくないのか、胸に埋めたままそう告げるアキラの言葉に、
俺はさっきまで黒く渦巻いていた感情が柔らかに掻き消されていくのを感じていた……。

「俺は、優しいだけじゃないぜ?」

 冗談まじりにそう言った俺の腕を掴む手に力がこもり、
顔を持ち上げたアキラが上目に俺を見遣り小さく呟いた。

「……もう、知ってるよ」


ende.


*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*


嫉妬はもはや、ユゥジの日常。
ブチッと余裕なくしたユゥジは、M寄りなのかS寄りなのかわからず…。

訓練必須(Mユゥジ×アキラ)

実際は、まだまだ青いという話。

*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*

 強い陽射しに窓の外を見遣れば、青い空に蒼い海。
こんな天気のいい日に、釣りに行かずどこへ行けって言うんだ。
こりゃ、訓練が終われば速攻で竿持って海だな。
大物を釣り上げて、今度こそあいつに……我ながら完璧なプランだと小さく頷いた瞬間、
ジャケットの背が軽く引っ張られるのに足を止めた。
 まぁたヒロのやつだな。ったく、あいつはすぐにこうやって……。

「コラ!今度はなんだ?」

 片眉を軽く持ち上げ、叱るような表情を作りながら振り向いた俺の視線の先……
ヒロよりさらに低い位置には、アキラがいた。
 俺のジャケットを小さく、どこか遠慮がちに抓みながら俺を見上げる彼女の表情が
少し驚いた風に変わるのに、慌てて手を振ってやる。

「悪い、ヒロと間違えた。お前を叱ったわけじゃないんだ、気にしないでくれよ?」

 そう訂正した俺の言葉に、ほっと息をつきそれに合わせたように頬を緩ませるその顔は
少女と女性の本当に合間の年代が見せる魅力的なもので、
胸の奥がトクリと小さな音を立てたのを感じた。

 毎日、違う表情を見つけてる。
 毎日、違う声音を耳にしてる。
 毎日、お前を好きになってる。

 もう、自分でもどうしたらかいいのかわからないほど成長を続ける感情を、
なんて呼べばいいのかなんて、俺だってしっかり自覚してる。
 だけど、この感情を彼女に伝えてしまうにはまだ早い気がして……
まだ、うまく伝わらない気がして、踏み出せないまま。
 いったい、いつになれば彼女をこの腕の中に包み込んで誰の目からも隠してしまえるだろう。
俺だけのものにできるだろう。

 そんなことを毎日のように考えている俺の気持ちなんて、
まったく気付いていないといった純粋な目で昨日提出した報告書の修正部分を示すアキラの、
指先が指定箇所を指し示すため紙面を滑らかに辿るのを見つめる。
 その細い指先が俺の肌を辿るのは、いったいどんな感覚だろうかと……
よもやそんなことを考えているとはおくびにも出さず、彼女の声を聞き漏らさないよう
少し腰を折り顔を近付けてやると、見上げる高さが変わったせいか笑みを浮かべる彼女を
今にも抱き締めてしまいそうになるのをぐっと堪らえた。

 まだだ、まだ早い。
 まだ、その段階じゃないぞ。

 そんなふうに奥歯を噛み締め衝動を殺す俺に、ふいにアキラが手を伸ばす。
頬に触れる細い指先が、俺の肌を軽く抓みそっと離れていく……。

「……まつげ、ついてたよ」

 にっこりと笑顔を向ける彼女に、俺はドクドクと早鐘を打ち始める心臓とはウラハラに
余裕のある大人を演じた。

「おっ、そうか。ありがとうな」

 ぽんぽんと頭を撫でてやると嬉しそうに笑い、
突然の呼び出しにそのまま手を振って去って行く彼女の背が見えなくなった瞬間……
俺はどうにもこうにもニヤけてしょうがない口許を手を覆い隠し俯いた。
 こんな顔、誰にも見せられない。
 大人だ、おっさんだ、なんて言われてる俺が……あんな小さな接触でこんな……。

 こりゃ……この後の訓練は、まともな成績は残せねぇな……。


ende.

*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*

次の段階どころか、下がってるという…。
自分から攻めていくのは得意だけど、ふいに相手から攻められると弱そうなユゥジ。

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プロフィール

名前:カサイ ユウキ

二次創作の場です。
公式とは一切関係はありません。

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