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潮騒(ユゥジ×アキラ)



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「痛いっ…痛いよっ、ユゥジくん!」

 白く、このまま力を込めれば砕いてしまうんじゃないかってほど細い手首を掴んだ俺に、
引き摺られるようにしながらもなんとか小走りについてくるアキラの訴えも、
今の俺の耳には響いてはこなかった。
 今、俺の身を焦がしているのは……ドス黒く、目の奥が紅く染まってしまったかのように熱い感情。
 ただ、それだけ。



 訓練を終え、疲れ切った身体に鞭打つように寮へと向かう俺が目にしたのは……
他に人のいない廊下で話し込むアキラと、ソーイチロウの姿だった。
 それはなにも珍しい光景じゃない。ソーイチロウは彼女の補佐でもあるんだ、
二人が常に……と言っても過言じゃないほど一緒にいることはわかってる。
 だが……このときの俺には、余裕がなかった。
 今日の訓練の結果が芳しくなく、正直自分でも頭を抱えたくなるほど散々な結果を出してしまった。
 こんなんで、もし今ナイトフライオノートが攻めてきたりしたら……
俺は、彼女をちゃんと守ってやれるのか?
こんな結果を出した俺じゃなくて、彼女は他のやつらを信頼して戦闘を任せるんじゃないか?
自分を守らせる相手に、俺を選んだりはもう……しなくなるんじゃないか?
 それだけじゃない。
VOXのオペレーター達やソーイチロウみたいに有能なやつらに、信頼を寄せるんじゃないか……
俺じゃない誰かが、彼女を……。
 そんな思いが浮かんだ瞬間、頭の中でガッチリと繋がれていたコードが引き抜かれたような、
ブツンと大きな音を立てて電力が落とされたような感覚がした。
 甘粕と別れ、廊下を歩き出したアキラの腕を取りそのまま強引に施設を飛び出して、
普段から人気もない入江へ連れてくることに、なんの罪悪も感じなかった……。
 ただ、彼女を誰にも渡したくなかった。
 ……それだけだ。



「ユゥジくん!ねぇ!」

 入江まで連れて来た俺の手を何度も軽く叩いてくる彼女の声と、
岩にぶつかり弾ける波の音に俺はゆっくりと足を止めた。
 大きく息を吸い込むと、慣れた潮の香りが肺を満たしていくのに何度かそれを繰り返し、
ようやくアキラへと顔を向ける。
 夜の海、それもLAGから離れた場所にあるここには人工の光は入らず、
アキラの表情を浮かび上がらせるのはよく晴れた空で輝く明るい月だけ。
 そんな淡い光の中でも、彼女がどれだけ不安げな顔をしてるのかよく見える。
 
「……ユゥジくん、どうしたの……?」

 LAGを出てからずっと黙り込んだままの俺に、そう尋ねる彼女の目に浮かぶのは不安だけか?
怒りや悲しみじゃないのか?
 いや……違う、これは……。

「ユゥジくん?」

 ふと空いた手を持ち上げ彼女の頬に触れると、びくりと身体を小さく震わせるのに確信した。

「……怯えるなよ」

 アキラの目に浮かぶのは、怯えだ。
 腕をきつく掴み上げて、強引に連れ出した俺に対する怯え。

「お前を、傷つけるつもりはないねぇよ。ただ……話したいことがあったんだ」

 ほんの少し、それでもアキラが逃げ出すことはできないほど手首を掴む手を緩めると、
彼女はわずかに緊張を解いた。

「話したいこと?なに?なんでも言って。わたしは、ユゥジくんの話聞きたいから」

 その口調は、まるで面談でもしているかのようで……湧き上がる小さな苛立ちに、
思わず俺は眉根を寄せてしまう。

「……教官だから、か?」

 そう低く呟いた瞬間、アキラの目に怪訝そうな色が滲んだのを見た。
 お前にとって、俺はなんだ。
 ただの生徒、部下でしかないのか……本当に、俺の気持ちには一切気付いてないのか。

「べつに、それだけじゃ……」

「じゃあ、なに?教官としてじゃなくて、お前は俺をどう見てる?」

 切り返すようにそう問い返した俺の言葉に、困ったような表情を浮かべたまま
黙り込んでしまうアキラの手首を再びきつく握り締めた。

「いたっ……。ユゥジくんっ、痛いってば……!」

「……俺も、痛ぇよ……」

 胸の奥が、痛い。
 決定的な言葉を、まだ何も伝えていないくせに傷付くなんてどうかしてる……。
 もう、我慢なんかできやしない。
 俺以外の誰かがこいつを守るのも、俺以外を選ぶのも、俺以外に笑いかけてるのも、
俺以外と一緒にいるのも、俺のものじゃないのも……我慢できない。

「ユ……ぅ、ん……ッ」

 掴んだ手首をぐっと押し下げるようにして、わずかに前のめりになったアキラの細い顎を
そのまま掴むように持ち上げると、名前を呼ぼうと軽く開いた口唇を塞いだ。

 抗議の声は聞きたくない。
 お前はこのまま、俺のものになればいいんだ。
 だから、何も拒む必要はない。

 驚いたように目を見開いたアキラの顔を、目も伏せることなくじっと見遣りながら口唇を貪る。
軽く開いたままの隙間に舌を挿し込んでやれば、ますます驚きを滲ませる瞳と怯えたように震える舌先が、
とても甘く俺の欲望をくすぐった。

「んっ…ぅ、ん……ふ…っ、ぁ…っ」

 角度を変えて何度も何度も、歯列をくすぐり舌を吸い上げ、上顎の窪みを軽く擦ってやると
苦しげに喘ぎを漏らす姿を、俺以外の誰が知ってる。
 俺以外に、アキラのこんな姿を見ていいはずがない。
 誰にも、見せてなんかやらない。
 手首を掴む手でそっと腕を撫で上げ、滑らかな二の腕に指先が触れたのを感じると、
そのまま制服に包まれた膨らみへと移動させるのに、口付けから逃れられないまま小さく
何度も首を振るアキラに、俺はわずかな間だけ感じることのできた柔らかな感触から手を引き、
肩へと移した。

「……ユゥジ、くん……っ」

 ようやく口唇を解放した俺を見上げながら、震える声で名を呼ぶアキラの顎から手を離すと、
その小さな身体を力いっぱい抱き締めた。
 想いを伝えたら、彼女は受け入れてくれるだろうか。
 こんな強行に出たくせに、心は臆病で情けない疑問ばかりを浮かび上がらせる。

「……今日の俺の訓練、最低だった。悪い。次は必ず最高の結果を出す。
だから……これからも、俺にお前を守らせてくれないか?
他のやつらじゃなく、俺を……選んで欲しい」

 顔が見えない俺の言葉にアキラはしばらく黙っていたが、ふっと身体から力が抜けたかと思うと、
彼女ので手が俺の腕に軽く触れた。

「やっぱり、気にしてたんだ。訓練の結果、みんなの前じゃ『俺でも、たまにはこんなこともあるさ』
なんて言ってたけど、気にしてたんだよね……よかった。心配してたの」

 突然キスした俺を責めるでもなく、心配してた?
 その言葉に、ゆっくりと身体を離す俺を見上げるアキラが困ったような笑みを浮かべながら、
触れた腕をぎゅっと掴む。

「……さっきのは、びっくりしたけど……。ユゥジくんは、ひどいことしないって信じてた。
ちょっと、怖かったんだけど。でも、ほらこうして今はもう優しいし」

「……嫌じゃ、なかったか?」

 そう問い返すと、赤く染まった顔を俯かせて額をこつんと俺の胸に預けてきた。

「……嫌じゃ、なかったよ。ユゥジくん、優しいし……」

 俺に照れた顔を見られたくないのか、胸に埋めたままそう告げるアキラの言葉に、
俺はさっきまで黒く渦巻いていた感情が柔らかに掻き消されていくのを感じていた……。

「俺は、優しいだけじゃないぜ?」

 冗談まじりにそう言った俺の腕を掴む手に力がこもり、
顔を持ち上げたアキラが上目に俺を見遣り小さく呟いた。

「……もう、知ってるよ」


ende.


*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*


嫉妬はもはや、ユゥジの日常。
ブチッと余裕なくしたユゥジは、M寄りなのかS寄りなのかわからず…。
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名前:カサイ ユウキ

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